ストレスのはなし

2014.10.14

山口県臨床心理士会
医療法人水の木会 萩病院
武田朋昭

 

 「はぁ~最近ストレスが溜まるなぁ~」など「ストレス」を口にすることはありませんか?「ストレス」という言葉が現代社会では常用として使われますが意外とその中身はよく知られていないものです。今回はストレスについて考えてみたいと思います。

 

 ストレスにも機能と言うものがあり、その機能を知ることでストレスとうまく付き合っていくことが出来ます。まず、ストレスの原因のことを「ストレッサー」と言います。ストレッサーは様々な事柄からなり、身体的なしんどさや環境などもストレッサーになる事があります。ですがストレッサーの多くは悩み、不安、しんどさであるとされています。

 

ストレッサー
 ①環境:寒さ、暑さ、音など
 ②身体:病気、痛み、疲れなど
 ③精神:忙しさ、人間関係など

 

 よく臨床心理士である筆者に相談される内容は、会社・家族・友人・恋人との人間関係、仕事や学校・生活などでのトラブル、自身の身体や精神状態の不安や悩みなど、今、挙げた内容以外にも多岐にわたっての相談があります。そういったストレッサーを持ち続けるとストレスに感じることが多くなり「ストレス反応」として様々な形で出てきます。主なストレス反応として

 

①身体的ストレス反応

 首・肩こり、頭痛、吐き気・動悸、下痢・便秘、食欲不振、不眠、肥満
②心理的ストレス反応

 抑うつ感、意欲の低下、いらいら、緊張、不安
③行動的ストレス反応

 集中力の低下、ケアレスミスの増加、過食・拒食

 

 などがあります。ストレッサーが多く入りストレスを多く感じそのストレスが溜まるとストレス反応として表出されてしまいます。よくストレスの構造を「タンク」に例えて言う専門家がいます。ストレッサーが多くなるとタンクの中にストレスが貯蔵され、閾値を越えるとストレス反応が出てしまうのです。このストレスタンクは人によって大きさが違い、小さい容量の人から大きい容量の人まで様々な形であるとされています。例えば大きな事件や事故、災害があったときに、精神的にしんどくなってしまいストレス反応が出る人もいますし、ストレス反応が出ずに生活できる方もいます。人によってストレスタンクの容量は異なるのです。容量の大きさは個人によって異なるので、自分の大きさを把握することは大切です。自分のタンクの容量を知ることでストレスの差し引きが出来たりセーブしたりした生活が出来ます。ストレスはコントロールが大切です。その為には自身のストレスタンクの容量を理解していることも重要なことだと思います。
 また、ストレスタンクには溜まったストレスを出すところもあります。それが俗に言う「ストレス発散」です。溜まったストレスを出すことで、容量は小さくても健康的な生活を送れるのです。どのようなストレス発散をしていますか?

 

ストレスの発散

<校内・職場での対策>
友人・職員間の支え合い、クラスやチーム協力体制、悩みを共有する・喋る・愚痴る、相談する、仕事や勉強に生きがいを持つ、職場では管理職・学校では教員のサポート、居場所を作る、誰かから理解される、

<人間関係の持ち方>

他の職場・職種の人との交流、心許せる人との繋がり、本音で語る、家族・恋人の支え。
<個人の考え方・生活の工夫>

趣味を持つ(スポーツ、映画、旅行等)、リフレッシュする、リラクゼーションを行う、気分転換、時間が解決・開き直る・割り切る・スモールステップの目標設定、カウンセリングや病院を受診する。

 

 上に記したのはストレス発散の一例です。この中でのお勧めは、人と話をすることです。愚痴でも雑談でもよいので話してみることは大きなストレス発散になります。話すことで「実はそんなことで腹が立っていたんだ」とか「こう話してみると以外と楽かも」など自分を客観的に見て不安や緊張を緩和できるかも知れません。発散方法は自分に合う合わないがあります。好きな方法を見つけて実践してみてください。
 ストレスは溜まりすぎると自分の健康まで害する厄介なものですが、ストレスの内容と仕組みをわかっていればコントロールできるようになります。ストレッサーに恐れず楽しく生活する事が重要です。ですがもし制御不可能になったら臨床心理士などの専門家に話を行い整理していくことも大切です。一人で悩まずに誰でもよいので「ヘルプ」を出しましょう。

 

 臨床心理士は様々なところで相談活動をしています。山口県においても約200名の臨床心理士が山口県臨床心理士会に登録しており、医療保健・教育などの機関で相談活動を行っております。ストレスについて臨床心理士とお話してみませんか?臨床心理士の主な活動先を下に記します。

 

○医療・保健関係

精神科心療内科などの病院や診療所、精神保健福祉センター、保健所、保健センター、リハビリテーションセンター

○教育関係

公立教育相談機関、教育委員会、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、予備校(職名は、スクールカウンセラー、教育相談員、保育カウンセラーなど

○福祉関係

児童関連(児童相談所・市町村子育て支援担当課、さまざまな児童福祉施設)、障害関連(身体・知的障害施設、療育施設、発達障害支援施設など)、女性関係(女性相談センター、DV相談支援センター、婦人保護施設、母子生活支援施設など)老人福祉施設(特別養護老人ホーム、養護老人ホームなど)
○大学・研究所関係
大学(学生相談室を含む)、短期大学、専門学校、研究所・研究機関、大学付属臨床心理センターなど
○司法・法務・警察関係
司法関係機関(家庭裁判所など)、法務省関係機関(少年鑑別所・少年院・刑務所・保護観察所など)警察関係機関(相談室・科学捜査研究所など)
○産業・労働関係
企業内健康管理センター・相談室、外部EAP(従業員支援プログラム)機関、公共職業安定所、障害者センターなど
○私設心理相談室
臨床心理士が、個人または組織で運営している心理相談機関