会長メッセージ「安心のためにできること」 山口県公認心理師協会

2020.08.27

安心のためにできること

山口県公認心理師協会

会 長  桝本 俊哉

山口県のみなさま

 

健康のありがたみが感じられる日々が続いております。このたびのことで健康や生活に影響がありましたみなさまに、こころより御見舞を申し上げます。また、医療関係者のみなさまをはじめ、私たちの生活を支えるためにお仕事をされているみなさまに、こころより感謝申し上げます。

さて、山口県内の感染状況については報道でみなさまもご存じのとおり、ご心配のことと思います。そこで、このようなときに私たち一人ひとりが「安心のためにできること」についてお伝えできればと思います。

 

「感染の予防のために必要なこと」よりも、「安心のために必要なこと」をすることをお勧めします。

 最近は「感染の予防のために~しよう(やめよう)」という表現が多くみられることも自然なことと思います。ただ、この表現は「危険や不安を避けるために~しよう(やめよう)」と伝えているので、結果として危険や不安について意識してしまうことにもなります。「今日は良かったけど、明日は大丈夫だろうか」と不安なことについて日々考えてしまうこともあるのではないでしょうか。そこで、「安心のために~しよう(やめよう)」と考えなおしてみることをお勧めします。

 

今、私たちにできる安心のための行動は、

 ①3つの密「密閉・密集・密接」を避ける

 ②マスクを着用する

③手洗い・手指の消毒を心がける

3つです。この3つを自分でチェックすると、これができているから安心と自分で評価できます。

 

「してはいけないこと」よりも、安心の条件を付けて「していいこと」をつくることをお勧めします。

 「してはいけないこと」が多いとガマンが多くなってストレスになることも増えるのではと思います。同じことでも「~という条件で(ルールを守って)してもいい」と考え直してみましょう。

たとえば「外出をやめよう」と考えるよりも、3つの密を避け、マスクを着用し、手洗いを心がければ、「外出してもいい」と考えてみませんか、ということです。

 

家族や大切な人の話を聴く場合には、自分が安心しているときに話を聴くことをお勧めします。

「頭が痛い」「イライラすることが増えた」「何となくやる気が出ない」というような話を身近な方から聴くこともあると思います。このような場合には、安心して落ち着いているときに聴くことをお勧めします。安心して聴くことで、相手の方も安心して話せるからです。またこうすることで、お互いの「仲間意識」や「助け合い」の気持ちが育って、よりあたたかな関係になるようにも感じられるのではと思います。とはいえ、相手の方の話を聴いていて「安心しては聴けないな」「大丈夫かな」と感じたときには、相手の方に医師や公認心理師・臨床心理士などの心の専門家にも相談することを勧めてみてください。

 

感染に関連する差別、うわさ話をすることは私たちの不安を大きくしてしまいます。

感染に関連する差別はもちろん、うわさ話をすると周りの人を不安にさせてしまうかもしれません。周りの人の不安がめぐって、また私たちの不安を生むこともあります。

感染に関連する不安は、この日常生活の中では誰もが自然に感じる「あってよい不安」「すぐに何とかしなくても大丈夫な不安」です。不安をすぐに何とかしようとせず、ただ「不安に感じただけ」にしておくと、不安について考えすぎなくてもよくなり、うわさ話にもならずにすむかもしれません。もちろん、「安心のための行動」も不安について考えすぎないようにするために大切にしたいと思います。

 

 

 

ここにお伝えしたことには、「大変な状況にある時だからこそ大切なこと」だけではなく、ふだんから大切にしていきたいことも含まれています。大変な状況で「いつもどおり」が「いつもどおり」になりにくくなっているからこそ、「いつもどおり」を大切にしていきたいと思います。

「いつもどおり」は、安心だからです。

 

 

 

山口県公認心理師協会は、これからも日本公認心理師協会・日本臨床心理士会と共に歩んでまいります。そして、みなさまのこころの健康と安心のため、私たちにできることをしていきたいと考えております。みなさま、ご家族さまの健康をお祈り申し上げております。

2020827 

 

【ご案内・資料】

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